運命の出会い
2回目の入院中に、病院の廊下で。
あれ?見たことあるな~ Aさんに似てるな!
Aさんとは、長男妊娠時、切迫早産で入院中、同部屋だった方です。
2人目のタイミングも一緒で、外来でバッタリお会いしたり。
でもまさかねー。
でも似てるな。
あとでお部屋のネームプレート見てみよっと。
そのお部屋は病棟の一番奥に位置していました。
えーっと… あ!
Aさんだ!
ネームプレートの名前が一致。
嬉しくて、本能的に体が飛び出していった。
私「Aさ~ん!」
Aさん「はい…」
私「◯◯でーす!」
Aさんのビックリした顔。
私「いるんですよー、私も!偶然ですね!」
続ける。
私「切迫で…」
Aさん「そっか、
私、流産しちゃったんです」
絶句…
咄嗟に、
私「ごめんなさい!」
Aさん「いやいいんです、いいんです。
何週ですか?」
私「10週です…」
Aさん「がんばってくださいね」
その後、儀式的ななんやかんやあって、別れる。
病室に戻った。
勝手におんなじと思い込んで、
バカなことをした。
とても後悔した。
本当のことを言うの、辛かったよね。
私より何十倍も何百倍も辛いじゃん。
本人を思い、泣いた。
複雑な感情も込み上げてきた。
手術はこの日に行われるようだった。
もう、顔合わす自信ない…だめだ。
どんな言葉もかけられない。
病室から出る度に、彼女がいないか、会わないように周りを気にしている私がいた。
そんな風に過ごして、夕方。
「◯◯さーん」
誰かが小声で呼ぶ声。
私「はーい」
!!
Aさんだった。
Aさん「無事終わりましたので…」
私「ごめんなさい、私…!」
二人で泣く。
私が起き上がって座ろうとすると、
Aさん「いやいや、安静だから、座ってて!」
私ベッドに正座する。
Aさん「不安にさせるから、来ない方がいいかと思ったんですが…」
私「ちがう、ちがう、ごめんなさい、来てくれてありがとうございます…体は大丈夫なんですか?」
Aさん「大丈夫!」
両手でガッツポーズのようなものをしてみせる。
この人は、すごい。
私「そっか、そっか…いつ帰るんですか?」
Aさん「日帰りなんで、今日帰ります」
驚く。
日帰りなんだ…
わざわざ、来てくれたんだ。
Aさん「同じくらいの週数だったんですよ。私の分まで、がんばって、産んでください」
そんなこと…言わないで
Aさん「またいつか、来てくれると思うから…」
そうですね、とは言えなかった。
軽率だと思ったのだ。
Aさんは去る。
同じ病棟に響く赤ちゃんの声を聞きながら帰るのは、どんだけ辛いだろう。
この人は私の何十倍も何百倍もの勇気で、
会いに来てくれた。報告してくれた。体まで気遣ってくれた。
私は会わないように、逃げていた、弱い人間だ。
この人はすごい。
軽率とは言ったが、心の中で強く願う。
"いつかまた、Aさんの元におりてきてくれますように"
いくつもの偶然が重なり、まさに運命の出会いでした。
あと、余談ですが、この日はAさんと私を
1人目切迫入院時からよく知るスタッフの最後の出勤日でもあった。
3人が偶然会った。
何か、意味があったのだと思いたい。